結論:月初(翌月1日)退職が有利なケースが多い
退職日を「月末」にするか「月初(翌月1日)」にするかで、手取り額が数万円変わることがあります。最も大きい差が出るのは社会保険料です。
「退職日は月末にしない方がいい」と言われる4つの理由
ネット上で「退職日は月末にしない方がいい」とよく言われる根拠は、主に次の4点に集約されます。
- 社会保険料の月末在籍ルール:月末日に在籍していると当月分の社保(健康保険+厚生年金、自己負担額の例:月給30万円で約4.5万円)が発生する(健康保険法第156条、厚生年金保険法第19条)
- 「月末1日前」退職で当月社保を1ヶ月分回避できる:例)3月30日退職なら3月分の社保が発生しない可能性
- 賞与の支給日在籍要件と組み合わせやすい:賞与支給後の翌月1日退職にすれば、賞与受給と社保節約の両立が可能
- 転職先入社日の調整がしやすい:月末退職→翌月1日入社だと社保の二重月リスク(同月得喪)が発生しやすい
ただし、月初退職にすれば常に得とは限らず、国民健康保険料・国民年金の負担や失業保険の被保険者期間カウントで逆に損するケースもあります。以下で具体的に解説します。
社会保険の「月末在籍ルール」とは
健康保険・厚生年金は、その月の末日に被保険者であれば当月分の保険料が発生します(健康保険法第156条、厚生年金保険法第19条・第82条)。
具体的には:
- 退職日 = あなたが会社を辞める日
- 資格喪失日 = 退職日の翌日(健康保険法36条)
- 保険料は 資格喪失日の属する月の前月分まで 徴収
例で理解する
| 退職日 | 資格喪失日 | 保険料の対象 | 当月分 |
|---|---|---|---|
| 3月31日(月末) | 4月1日 | 3月分まで | 3月分 発生 |
| 4月1日(月初) | 4月2日 | 3月分まで | 4月分 回避 |
| 3月30日(月末前日) | 3月31日 | 2月分まで | 3月分 回避 |
月給30万円の場合、社会保険料の自己負担は約4.5万円/月(健康保険+厚生年金、協会けんぽ・東京都の場合)。月初退職でこの1ヶ月分を丸ごと回避できる可能性があります。
月末退職 vs 月初退職 比較表
| 観点 | 月末退職 | 月初(翌月1日)退職 |
|---|---|---|
| 社会保険 | 当月分が発生(自己負担約4.5万円) | 当月分を回避できる |
| 給与按分 | 在籍日数が多く、月給は満額に近い | 在籍1日分のみ(日割り計算) |
| 賞与 | 支給日在籍を満たしやすい | 支給月の翌月1日退職なら受給可能 |
| 有給消化 | 月末まで消化期間を確保しやすい | 消化期間は前月中に完了が前提 |
| 引継ぎ | 月次締めと整合が取りやすい | 月初退職は実務的に調整が必要 |
| 失業保険 | 月末退職の方が「被保険者期間」のカウントで有利な場合がある | 離職票の期間計算に注意が必要 |
月初退職のメリット
1. 社会保険料の節約(最大のメリット)
月初退職の最大の利点は、退職月の社会保険料を1ヶ月分丸ごと回避できることです。
月給別の節約額目安(協会けんぽ):
| 月給(額面) | 社保自己負担/月(概算) |
|---|---|
| 20万円 | 約3.0万円 |
| 25万円 | 約3.8万円 |
| 30万円 | 約4.5万円 |
| 40万円 | 約6.0万円 |
| 50万円 | 約7.5万円 |
2. 翌月1日退職なら賞与も受給可能
賞与の就業規則が「支給日在籍」型であれば、賞与支給日を含む月の翌月1日退職で、賞与を受け取りつつ社保も節約するベストな組み合わせが狙えます。
月初退職のデメリット・注意点
1. 給与は日割りで大幅に減る
4月1日退職の場合、4月分の給与は1日分のみ。月給30万円なら約1万円(30万÷30日×1日)です。
ただし、退職日前月の月末まで通常通り給与が発生するため、「3月分は満額+4月分は1日分」のトータルで考える必要があります。
2. 失業保険の被保険者期間に影響する場合がある
失業保険(雇用保険の基本手当)の受給要件は、「離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上」です。被保険者期間は、賃金支払基礎日数が11日以上ある月をカウントします。
月初退職(例:4月1日退職)だと、4月は在籍1日のため被保険者期間としてカウントされません。ぎりぎり12ヶ月の方は注意が必要です。
3. 退職月の国民健康保険・国民年金が発生
社会保険を抜けた月から国民健康保険と国民年金の加入義務が発生します。社保を1ヶ月回避できても、国保+国民年金の負担が発生するため、「手取りの差額」は社保回避額そのものではありません。
ただし、国保の保険料は前年所得や自治体によって大きく異なるため、国保+国民年金が必ずしも社保より安くなるとは限りません。お住まいの市区町村の窓口で試算してもらうことをお勧めします。
ケース別:最適な退職日の考え方
ケース1:賞与なし・転職先未定
→ 月初(翌月1日)退職が有利
社会保険の節約が純粋にプラスになります。
ケース2:賞与あり(支給日在籍型)
→ 賞与支給日を待って、翌月1日退職が最強
例)6月10日ボーナス支給 → 7月1日退職。賞与60万円+社保4.5万円節約。
ケース3:賞与あり(基準日在籍型)
→ 基準日まで在籍 → 翌月1日退職
例)基準日=5月31日 → 6月1日退職。基準日を満たしつつ社保回避。
ケース4:転職先が決まっている
→ 空白日を作らないように調整
月末退職+翌月1日入社がスムーズ。同月末退職×同月入社は社保二重月のリスクに注意。
月別・退職時の主な注意点(早見表)
退職を考える月ごとに、知っておくべき固有の事情があります。
| 退職月 | 主な注意点 |
|---|---|
| 1月 | 住民税は5月分まで一括天引きで手取り急減の可能性。年末調整は前年12月の最終給与で実施済 |
| 3月 | 年度末で求人多い。退職金規程の年度末締め会社は係数アップの可能性 |
| 4月 | 4月1日基準日に有給を一斉付与する会社では退職前にもらえる可能性。新年度の住民税切り替え準備 |
| 5月 | 住民税は5月で前年度分(特別徴収)終了。6月から新年度開始のタイミング |
| 6月 | 夏ボーナス支給後の退職で受給と社保節約の両立を狙いやすい。住民税の特別徴収新年度開始月 |
| 7月 | 標準報酬月額の定時決定(算定基礎届)の手続き月 |
| 9月 | 算定基礎届の結果が反映され、標準報酬月額が9月分から改定 |
| 12月 | 年末調整・確定申告の対応が変わる。詳しくは 12月退職の税金ガイド |
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よくある質問
Q. 月末前日(例:3月30日)退職でも社保は回避できる? A. はい。資格喪失日が3月31日になるため、3月は被保険者ではなく社保は回避できます。ただし、翌月1日退職と比べて「在籍日数が1日少なくなる=給与が減る」点に注意してください。
Q. 月初退職だと退職金に影響する? A. 退職金は多くの場合「勤続年数」で計算されるため、1日の差で年数の境界を跨ぐ場合は影響があります。退職金の境界について詳しく
Q. 有給消化中に月をまたいだ場合はどうなる? A. 有給消化中も在籍扱いです。最終出社日が3月15日でも、退職日が4月1日なら4月1日まで在籍=3月分の社保は発生します。有給の残日数と退職日の関係は有給の最適な使い方を参照してください。
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